先生がいてくれるなら③【完】

* * * * *

体育祭の季節が近づいていた。


俺は、今年も校長のゴリ押しで、全校対抗リレーにアンカーで出場することが確定となった。


俺を推薦したのは校長だけではなく、去年のリレーの記憶がある教員は全員一致で俺を推薦して来たので、どうあがいても断ることは出来なかった。


去年の体育祭で、同じくアンカーだった立花を抜かしてやりたくて本気で走ったのが、完全に仇となった。


……あれはあれでとても楽しかったけれど、それとこれとは話が別だ。


あーあ、だるいな……、今年は適当に『足がつった』とか言ってゆっくり走ってやろうかな……。




そんなある日の職員会議の時間だった。


会議の冒頭、教頭が「大事なお知らせがある」と神妙な顔で話し出した。



「昨今、わいせつ行為など、教員による不適切行為が話題となることが増えています。よって、我が校でもそのような不適切な事が起こらないように、生徒との個人的な連絡や、過度な接触は厳禁とします。たとえそれが教員としてやましいものでなくても、厳に控えるよう、宜しくお願いします」



個人的な連絡、過度な接触──いずれにも該当する俺としては、あまりにも耳の痛い話だ。


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