先生がいてくれるなら③【完】

……それにしても。


確かに、最近新聞やテレビなんかで取り沙汰されることは増えている。


とは言え、教頭のあの態度……、あれは、“何かあった” な。


学校に入るクレームなどの電話内容が、全ての教職員に伝達されるわけではない。


もちろん共有すべきクレーム情報は、すぐに知らされる。


だが、基本的には教頭が一括していて、その情報をコントロールしている。


なにか苦情や通報があったとしても、問題無しとされれば、今回のように情報の内容はコントロールされ、必要な注意事項だけ伝達されて終わる。


今回のことはどうやら大きな出来事では無かったらしいが、注意事項として伝達されたと言うことは、気に掛けておかなければならない案件だったのだろう。


どこに監視の目があるか、分からない世の中だ。


特に、俺の素顔が生徒にばれたとなれば、いくら学校での姿とプライベートでは違うと言っても、立花と一緒にいるところを見られるわけにはいかないだろう。



くそ、本当に面倒なことになった。



立花はあと半年ちょっとで卒業だ、それさえ乗り切れれば、なんとかなる──。


何事も無く過ぎてくれるよう、細心の注意を払いながら、ただその時が来るのを待つしかないのか……。


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