先生がいてくれるなら③【完】


──“何かあった” と言う俺の勘は、当たっていたらしい。


勘というよりは経験則か。


学校に『生徒と教師が付き合ってる』なんて匿名の電話があったらしい。


その件で立花が呼び出されたとか。


俺とのことがばれたのかと、心底焦った、と眉尻を下げて言う立花が可愛くて、思わず頭をふわりと撫でた。


「どうしよう、って、ホントに焦りました。広夢さんの名前を出すことも覚悟して……」

「はは、それは大変だったな。良いよ、またそう言うことがあったら、あいつの名前出せば」

「でも広夢さんにも先生にも、申し訳なくて……」

「バレるよりマシ」

「……はい」



校長室でのことを詳しく聞くと、食事会のために広夢が迎えに行った時に待ち合わせ場所でまた細川に出会ったらしい。


きっとその時、誰か生徒に見られていたのだろう。


噂によると細川は女子生徒に人気があるらしいから、その匿名電話とやらはもしかすると細川を慕う生徒の誰かなのかも知れない。


< 247 / 352 >

この作品をシェア

pagetop