先生がいてくれるなら③【完】

学校で先生の顔がイケメンだってバレちゃって、更には細川先生の件もあって、私たちはますます普通に会えなくなった。


私が先生のマンションに行くことぐらいはなんとか出来てるけど、先生が送り迎えをする事はいまは難しい。


遅い時間に電車で家に帰すのを先生が嫌がるので、休みの日も必然的に会える時間が短くなる。


平日は学校で会えるけど……、“会える” と言っても、授業の時だけで、個人的な話なんかは一切出来ない。


電話だと顔が見えない、ビデオ通話でもやっぱり寂しい……。


我が儘だとわかってる、先生を困らせたくないから口にはしないけど、でも、やっぱり寂しいと思ってしまうのは、どうやっても止めることが出来ない。



「大丈夫ですよ、先生が覚えていてくれて、誰よりも先に『おめでとう』って言ってくれただけで、十分すぎるぐらい嬉しいですから」



すごく嬉しいのは本当。


でも、本当はやっぱり、会いたい──。




『……会いたい』



同じタイミングで同じことを考えていたらしいと分かり、思わず頬が緩む。


「私も、会いたい、です」

『広夢に迎えに行かせるから……。夜だし、ちょっとしか会えないけど』

「先生、お仕事大丈夫ですか?」

『一日ぐらい、大丈夫。一日っつーか、数時間だけだから。ホントはずっと一緒にいたけど……』

「広夢さんも、お忙しいんじゃないんですか……?」

『大丈夫。それは気にしなくていいから』

「……はい」


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