先生がいてくれるなら③【完】
今日のこの日を、俺は何日も、いや、何ヶ月も前から心待ちにしていた。
──立花の、18歳の誕生日。
一年前のこの日は、傍にいることが出来なかった。
立花は怪我をして入院していたし、俺は修学旅行の引率だったから。
もし立花が入院せずに一緒に修学旅行に行っていたなら、俺たちはどうなっていただろう?
立花は、もしそうだったなら俺に『告白はしなかった』と言っていた。
だったら、俺は……? 俺は、あいつにこの想いを伝えただろうか……?
教師という立場で、一人の生徒に対して “生徒以上” の想いを持っていることを、いつ、どの場面で伝えただろう?
ことある度に、何度も自問自答してきた。
その度に同じ答えしか出てこない。
どんなタイミングかは分からないけど、きっと、いや間違いなく、俺は立花にこの想いを伝えただろう。
好きで、好きで、堪らない、と。
愛している、と。
きっと、言わずにはいられなかったはずだ──。