先生がいてくれるなら③【完】

今日のこの日を、俺は何日も、いや、何ヶ月も前から心待ちにしていた。



──立花の、18歳の誕生日。



一年前のこの日は、傍にいることが出来なかった。


立花は怪我をして入院していたし、俺は修学旅行の引率だったから。


もし立花が入院せずに一緒に修学旅行に行っていたなら、俺たちはどうなっていただろう?


立花は、もしそうだったなら俺に『告白はしなかった』と言っていた。


だったら、俺は……? 俺は、あいつにこの想いを伝えただろうか……?


教師という立場で、一人の生徒に対して “生徒以上” の想いを持っていることを、いつ、どの場面で伝えただろう?


ことある度に、何度も自問自答してきた。


その度に同じ答えしか出てこない。


どんなタイミングかは分からないけど、きっと、いや間違いなく、俺は立花にこの想いを伝えただろう。


好きで、好きで、堪らない、と。


愛している、と。


きっと、言わずにはいられなかったはずだ──。


< 265 / 352 >

この作品をシェア

pagetop