先生がいてくれるなら③【完】


日付が変わるのと同時に、すぐに電話を掛ける。


最近は日付が変わる頃まで勉強していると言っていたから、きっと、まだ寝ていないだろうと思う。


寝ていたら起こしてしまうことになるけど……その時は謝ろう。


どうしても、今すぐ、伝えたい。


おめでとう、と。



コール2回で、すぐに繋がった。やはり、起きていたらしい。


立花は朝起きるのが早いから、本当ならもう少し早めに寝て、しっかり頭も身体も休めて欲しいんだけど。


でも、今日は、起きていてくれて良かった、なんて勝手なことを思ってしまう。


本当に自分勝手だな、俺。




「誕生日おめでとう」




俺がそう言うと、少々の沈黙があった。


……これは、自分の誕生日を忘れてたパターンのやつか?


立花らしいな、と笑いが込み上げてくるのを必死にかみ殺す。



「一番に伝えたくて。明日学校で話せるかどうか分からないし」



学校ではどこで誰に見られてるか分からないから、全くと言って良いほど、個人的な会話をしない。


携帯のメッセージなんかも、緊急時以外は基本的には学校を出てからだ。


本当は前みたいに準備室で少しでも話が出来ると良いんだけど……、俺も忙しいし、もう部活を引退している生徒が出入りしているのは、あまりにも目立つ。


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