先生がいてくれるなら③【完】

俺の顔が生徒たちにバレ始めた事もあるし、細川の件もあって、俺たちはほとんど会えていない。


授業では顔を合わせるけど、そんなので足りるわけが無い。


前みたいに俺自身が立花の送り迎えを出来るのなら、もう少し会えるかも知れないが……誰かに見られる可能性は捨てきれず、そうするとどうしたって、会える機会は無くなる。



「……会いたい」



思わずそう口に出せば、立花もすぐに『私も、会いたい、です』と返してくれた。


同じように思ってくれていることが、とても嬉しい。



あまりにも会えていない俺たちのために、立花の誕生日ぐらいは、と、広夢が立花の送り迎えをかって出てくれた。


最近、光貴がほとんど病院に泊まり込みになってて、一度着替えを取りに帰ってくる時に便乗させてくれるらしい。


──と言うのは恐らく建前で、本当は別に広夢が光貴を迎えに行かなきゃいけない事もないし、もっと言えば、光貴は着替えなんか取りに帰らなくても良いはずだ。


だけど、そうでもしないと立花が気を遣うだろうから、と言う弟達の配慮らしい。


さすがは俺の弟だ。


弟二人には、感謝してもしきれないな、本当に……。



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