先生がいてくれるなら③【完】
翌日──。
いまは立花のクラスでの授業中……。
5限目と言うこともあって、眠そうにしている生徒が多い。
昼食後の数学なんて、生徒にとっては眠いことこの上ないだろう。
集中力が切れている生徒が多くいるのを良いことに、思わず立花をチラチラと見てしまう。
前髪と眼鏡のおかげで俺の表情はあまり見えないらしいけど、それでも念のため、普段はなるべく視線を送らないように気を付けている。
だけど今日は特別な日だ、見るなと言うのも、無理な話だ。
俺の視線に気付いた立花が、一度、にっこりと微笑んだ。
思わず俺も表情を崩しそうになったがなんとか堪えて、他の生徒達に気付かれないように小さく頷いて返した。
それにしても、立花の笑顔の破壊力が半端なくて、その後の説明でちょっと声が上ずってしまった気がする。
──んん゛っ。
喉の調子が悪いことにしておこう……。