先生がいてくれるなら③【完】


──例年12月初旬に行われる球技大会が近づくと、私は一気にナーバスに……。


何を隠そう(隠してないけど。だって先生は知ってる……)、私は球技が大の苦手で……。


毎年、走り回ってるだけでなんとなく参加してるように見えるバスケットボールを選択するのだけど、今年はバレーボールに参加することになった。


と言うのも、実は椿がバレーボール部で……半ば無理矢理バレーに決定……。



「大丈夫大丈夫、私が全部拾うから!」



椿はそう宣言した通り、私がとんでもない所に打ち上げてしまったボールを拾いまくってくれて、なんとか相手コートに打ち返してくれた。


椿のおかげでそこそこの所まで進んだものの、私が足を引っ張ったせいで、優勝に絡むようなことには全然ならなかった。


私がチームにいなければ、きっとうちのクラスが優勝していたに違いない。


「椿、ごめんね……」

「気にしてないってば。そもそも私がバレーに引き込んだんだから、謝るのは私の方。無理矢理付き合わせてごめんね、明莉」

「うぅっ……、椿……」

「優勝することが目的じゃないもの。それに、私はすごく楽しかったよ?」

「……う、ん、それなら、よかった……」


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