先生がいてくれるなら③【完】

ちなみに先生は、と言うと、私が「絶対見に来ないで下さい!」と懇願したにも関わらず堂々と見に来ていて(だって試合が先生のクラスとの対戦だったから)、私のプレーを見て失笑して帰って行った。


「……めちゃくちゃ傷ついたんですからね?」


その夜、私が電話で先生にそう言うと、先生は『ごめんごめん』と、やっぱり笑いながら謝った。


『だって、すごく必死で、可愛かったから、つい……』


……先生、“可愛い”って言えば全部許されると思ってるでしょ?


「もうやだ。先生きらいっ」


私が心にも無いことを言うと、先生はまた笑う。


『はいはい、大好きだよな? 知ってる』

「好きなんて言ってませんっ」


会話にならない。


でも、何も間違えてなかった。


好きすぎて、ほんと困る──。



球技大会も終わり、私たち三年生に残されている今年度の学校行事は、あとはもう卒業式ぐらいしかない事に気付いた時、あぁ、本当にもうすぐ卒業なんだな、って否応なく実感させられた。


──ひとつひとつ、学校行事が終わって行く。



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