先生がいてくれるなら③【完】
気がつけば、いつも自然とお前の姿を探していて……。
お前には言ってないけど、お前が一年生の時から、多分ずっと見てた。
あの日、テニスコートで必死にボールを拾っていたお前を見つけた自分自身を、褒めてやりたい。
──まぁ、そうは言っても、あの頃はぜんぜん好きなんかじゃなかったけどな。
そんな立花も、もうすぐ卒業か──。
三年という年月は、あっという間に過ぎていくんだな……。
──とか、感傷に浸るヒマなんか、実は全く無かった。
とにかく12月は、忙しい。
忙しすぎて何もかもがバタバタなのに、三年生の女子を中心に、大勢の女子生徒たちに取り囲まれる日々が続いている。
うんざりだ。
最近は、それだけじゃなかった。
独身の女性教師も、チラチラと俺の様子を窺い始めているようだ。
控えめに言って、激しくめんどくさい。
出来る限り避けて来たけど、……直接呼び出されてしまうと、さすがに対応しないわけにはいかなかった。
「あの、藤野先生、ちょっとお話が……」
「……はい、何でしょう」
「えっと、ここではちょっと……」