先生がいてくれるなら③【完】
その日の夜、俺は前々から密かに計画していた事を前に進めるべく、立花に電話をした。
「──次の日曜日、お前んちにお邪魔していい?」
立花からは全く理解してないような返事が返ってくる。
もう一度「次の、日曜日」と念を押す。
『え、っと、日曜日は多分、お母さんがいますけど……』
「うん、だから。お母さんに都合聞いといてくれる?」
もうすぐクリスマスだ。
去年のように外でのデートが出来ないとなれば、自然と俺の部屋で過ごすことになるだろう。
そうすると、きっと、去年のように泊まることになるに違いない。
……何もしないけど──いや、キスぐらいはするけど──さすがに去年のように、親に断りも無く俺の部屋に泊めるわけにはいかない。
それに、もっと前から、ちゃんと挨拶をしておかなければ、と考えていた。
「ちゃんと挨拶しとこうと思って」
俺がそう言うと、立花は黙り込んでしまった。
「去年のクリスマスは、挨拶も無くお前をうちに泊めただろ? 罪悪感ハンパなかったから、今年はちゃんと挨拶させて」
『……』
「……どした?」
『えっ、と、嬉しくて……』
本来ならもっと早くに挨拶に行かなければならなかったのに、こんなに遅くなってしまって、立花の母親は許してくれるだろうか……?