先生がいてくれるなら③【完】
学校にはつけて行けないし、束縛みたいな、俺の自己満足でしかないけれど。
これがいまの、高校生のお前に約束できる、精一杯だから、だから、どうか受け取って欲しい。
小さな箱に収められた、小さな指輪──。
永遠を誓う指輪ではないけれど、永遠を誓わせてもらえるまでの、いまの俺の精一杯の気持ちを込めて……。
立花の瞳に、みるみる涙が貯まる。
「受け取ってくれる……?」
そう尋ねる俺の声が、少し震えてしまったことに気付かれてしまったかも知れない。
きっと受け取ってくれるだろうと思ってはいても、いざその時を目の前にすると、不安が押し寄せる。
だが、立花は、俺の不安を振り払うように、しっかりと大きく頷いてくれた。
思わず安堵する。
立花の細く華奢な指に、指輪を填める。
「男除けだから。学校では出来ないけど、外に出る時はつけといて」
この程度で全ての男が除けられるわけはないけれど。
小さな “俺の大切な人の印”。
束縛とも取れるこの印を嬉しそうに身につけてくれる恋人が心底愛おしくて、そっとこの腕に抱き締めた。