先生がいてくれるなら③【完】
「あのね、先生。高い物じゃないから、大丈夫です。……受け取って、くれませんか?」
私がおずおずと差し出すと、先生は私の頭をふわりと優しく撫でたあと、「ありがとう」と、プレゼントを受け取ってくれた。
「開けても良い?」
「もちろんです」
似合うと良いんだけどなぁ、と言うか、絶対に似合うと思って、買いました。
先生は慎重に包みを開く。
「……あ、」
「……どう、ですか?」
「うん、……と言うか、どう?」
取り出したそれを、先生が身につける。
「うん、めちゃくちゃ似合います! 男前度が更に上がりました! 死にそう!」
「……はは、死なれたら困るな」
「えー、無理です、ちょっと、心臓が……」
先生が男前すぎて、もう無理かも、心臓もたない。
先生はが伊達眼鏡をかけたまま、ふわりと微笑んでいる。
「うわ、やめて下さい、失敗だったかも、無理です、私を殺しにかかるのやめて……」
先生が “ふわりと優しく微笑む” とか、普段滅多にしないから、これはわざとやっているんだって分かる。
絶対に私を殺しにかかってる。
だって、私いま、心臓があり得ない速度で動いてるもん。
うわわわ、これは完全に自滅かも知れない!