先生がいてくれるなら③【完】
「ん、お前の受験が終わったら、デートしような」
「デート……」
いつから一緒にお出かけ出来てないんだろう、もう思い出せないぐらい前な気がする。
私は頭の上に出来た小さな鳥の巣を解しながら、早く受験終わらないかな、って考えている。
考えたところで早くなるわけじゃないから、本当に悔しい。
「だから、勉強、頑張れ」
「……はい」
「ん、良い子」
先生の手が再び私の頭に伸びて、今度は鳥の巣を作らないように、優しく撫でてくれた。
しっかり勉強して、ちゃんと志望校に受かって、それで、先生とデートするんだ。
もうあとはとにかく、頑張るしかない──。