先生がいてくれるなら③【完】
──年が明けた。
立花の父親には、年明け早々に挨拶に行かせてもらった。
とんでもなく緊張したけど、会ってみると、なんともあっさりと交際を許して貰えて、正直言ってちょっと拍子抜けだった。
いやもちろん、とても有り難いことだと、心から感謝している。
反対される可能性も考えてあれこれ考えを巡らせていたのは、本当に有り難いことに、杞憂に終わった。
彼女の父親は、医療機器メーカーの営業をしているらしい。
それを聞いて、もしかすると、と思ったが、やはり俺の親父のいる大学病院も営業先らしく、親父と面識があると言うことだった。
まさかそんな繋がりがあったとは、夢にも思わなかった。
教師なんかとの交際を快く承諾してくれたご両親には、もう本当に、感謝しかない。
立花が高校を卒業するまでは節度有る交際を心がけることを、固く約束した。
卒業まであと3ヶ月近く、正直、長いなと思うけれど……。
──受験勉強を頑張っているはずの立花から急に電話がかかってきたのは、2月に入ってすぐだった。
もちろん定期的に連絡は取っている、そう言う定期的なやつじゃなくて……。
『先生、11日ですけど。ほんのちょっとだけで良いので、時間を空けてもらってもいいですか?』
「それはいいけど。……なんで?」
『えっ、もしかして、忘れてるんですか? 先生のお誕生日じゃないですか!』
「……あー、あぁ、」
忘れていたと言うか……。