先生がいてくれるなら③【完】

ポロポロとこぼれ落ちる涙を、今日は、誰も咎めたりなんかしない。


泣きたいだけ泣いても良い日に決まってる。



美しい音楽が流れ、会場いっぱいに広がる拍手の中を、私たち卒業生が退場していく。


泣きじゃくりながら歩く者、堂々と前を見据えて歩く者、涙を堪えながら歩く者、保護者席の中に家族を見つけて手を振る者……。



──私は、と言うと……。


保護者席に座るお母さんを見つけ、泣きながらも頬が緩んだ。


お父さんは単身赴任先から帰れないから、お母さんだけが出席してくれた。


お母さんは看護師をしているからスケジュール調整とか大変だし、「来られそうになかったら別に良いよ」と言ったら、「娘の卒業式なんだから、それぐらいは融通してもらう。絶対に行くからね!」って言ってくれてた。


お母さん、高校、無事に卒業できたよ。本当にありがとう……。


きっと、お兄ちゃんも、天国から見てくれてるよね……?


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