先生がいてくれるなら③【完】


教室での最後のホームルームを終える。



一気に、教室が騒がしくなった。


もうこの教室で、このクラスの面々と顔を合わせることは無いのだと思うと、やはり少し寂しくも感じる。


明確に夢が決まっている者、まだ進む道は定まっていないけどとりあえず一歩前進する者、それぞれだけど、全員がそれぞれの道に進むために、今日、この学舎を巣立っていく。


「先生っ、一緒に写真撮って下さい!」

「ツーショット以外なら良いよ」

「えーっ、二人がいい!」

「じゃあダメ」


冗談交じりのこんな会話も、今日が最後だ。


結局、全員で写真を撮った後、グループごとに写真を撮らされ、更にひとりずつ……。


まぁ、ちゃんと列を作って並んでたから、特別に許してやろう。



「教室の鍵閉めるから、全員外出ろー!」


俺が叫ぶと、「名残惜しい~!」と言って机に抱きついたり、黒板に落書きを残したり……。


いや、良いからさっさと出ろよ。


俺はこの後、数研の連中と写真を撮る予定になってるし、立花とも……。



「じゃあ、出ないやつは閉じ込める!」

「無理です先生、鍵は中から開けられます!」

「余計な知恵回してるヒマがあるなら、さっさと出ろ!」

「うぇ~い」



まったく。


高校を卒業したとは言っても、まだまだ子供だな。

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