先生がいてくれるなら③【完】
先生との出会いを、ふと思い出すことがある。
高校二年生の、春──。
クラスの副担任や教科担任としてではなくて、一人の男性として出会った、あの日のことを。
最初は、綺麗な顔して口が悪い人だな、って思った。
すぐ怒るし──いや、基本的には私が怒らせてたんだけど──ホントに口が悪くて、俺様で、暴君で……。
そんな風に思っていたはずなのに、いつの間にか、本気で好きになっていて。
いま思い返しても、いつ、どの瞬間に先生のことを好きになったのかなんて、やっぱり分からない。
気付いた時にはもう引き返せないところまで来ていた。
先生の優しさが嬉しくて、でも、先生との年齢差や、自分の “生徒” という立場のことを思うと、苦しくて、切なくて……。
今日まで、本当に色々なことがあった。
楽しいことだけでなく、喧嘩もしたし、悲しいこともいっぱいあった。
だけど、そのたびに私は、強く思う。
やっぱり私は先生が大好きなんだ、って。