先生がいてくれるなら③【完】
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3年3組の教室の一角には、珍しいメンバーが集まっていた。
5組の美夜ちゃん、2組の悠斗、私と同じ3組から市橋君と、椿、そして私──。
みんな、私のことを心配して集まってくれたらしい。
ありがたくて涙が出そう……。
話の内容があまりにもデリケートな問題なので、悠斗の提案で “第二視聴覚室” へ移動することになった。
そう、廊下の窓の鍵が壊れていて、ちょっとしたコツを知っていれば忍び込める、あの教室──。
──そして知らされる、驚きの事実。
「えっ、市橋君と椿って、幼なじみなのっ!?」
私は驚きのあまり、思わず椅子から勢いよく立ち上がった。
「まぁ、改まって言うほどのものでもないかと思って。知った所で何の得にもならないし」
涼しい顔で言う椿の言葉に、市橋君は苦笑しながらも頷いた。
椿は綺麗な顔をして時々すごくドライな発言をするから、びっくりする。
それがまた似合ってて格好良くって、思わず女の私でも見惚れてしまうぐらいではあるんだけど。
「私のことは良いの。それより明莉、本当に大丈夫なの? 前よりは顔色もマシにはなったけど……」
椿が心配そうに私の顔を覗き込む。
私がこんな風に体調不良になった一番最初の原因を、椿は知らない。
一緒にいることが多い椿にもこの際だから一応知っておいてもらおうと思うけど……何からどう話すべきか……。