先生がいてくれるなら③【完】
私は頭を下げる高峰さんを、茫然と眺めていた。
……えっ、どう言う、こと…………?
頭がついていかない。
……終わった、の…………?
「あの、……」
私の声に、高峰さんがゆっくりと頭を上げる。
「謝ったって簡単に許して貰えるとは思ってない」
真っ直ぐに私を見つめる高峰さんの瞳がゆらゆらと揺れる。
「でも、私は目標が出来た。やらなきゃいけない事が出来たの。それは全部、あなたのお陰だから……」
高峰さんはそう言って、再び頭を下げた。
「えっ、あの、ごめんなさい、意味が……」
彼女の言葉の意味が全く分からない私は、おろおろとするばかりで……。
そんな私を見て彼女は、フフッと笑った。
「相変わらず、ぼんやりねぇ」
「す、すみません……」
つい謝ってしまったけど、ここは私が謝る場面だったっけ……?