先生がいてくれるなら③【完】
「……だからね、……ありがとう」
彼女は小さめの声で恥ずかしそうにそう言って、少しだけ頭を下げた。
「お、お礼を言われるような事は何もしてないです! むず痒いからやめて下さい」
「……むず痒いって何よ、失礼ね」
高峰さんに睨まれて、私は「……ごめんなさい」と思わず謝った。
「まだ気付いたばかりだから、何も決まってない。両親の事も今から説得しなきゃいけない。だから、私の夢は実現するかどうかは分からない」
「高峰さんならきっと、すぐに実現させられますよ」
私の心からの気持ちを言ったのに、高峰さんは「そんな簡単なわけないでしょ!」と私をまた睨んだ。
「でもまぁ……、そう言う単純でおバカな所があなたの良い所なんでしょうね。ひとのことばっかり優先で、お節介すぎる所とかも」
あのー、それって、褒めてるんですか、けなしてるんですか?
私は思わず苦笑いをした。