先生がいてくれるなら③【完】
「もし両親に私の考えを認めて貰えても、また勉強し直さなきゃならないし、最終的にはアメリカに留学しなきゃいけないから……」
彼女はそこで一度言葉を切った。
私の目をしっかりと見て、真剣な表情で私を見つめる。
「……だからもう、あなたの前には現れない。だって私にはそんな暇はないから」
「高峰さん……」
わざとそんな風に言ったのだと、すぐに分かった。
暇がないからなんて、きっと後付けの理由だ。
高峰さんぐらい頭が良ければ、新しい分野の勉強だってそんなに難しいものじゃないだろう。
もう、二度と私の前には現れないつもりなのかも知れない、本当に……。
だから私は、一つの予防線を張る事に決めた。
「……私、高峰さんのこと、やっぱり許せません」
私がそう言うと、彼女は厳しい表情に変わる。
「そう……、そうよね、いくらあなたでも、私のことは許せないわよね」
諦めたような顔をする高峰さんに、私は次の言葉を投げかける。
「私の前から完全に消えるなんて、そんな事、許せないです」
「………………は?」
私の言葉の真意が分からないらしく、珍しく高峰さんが私の言葉を聞き返した。