先生がいてくれるなら③【完】
好きになってはいけない人を、好きになってしまった──。
最初から、分かっていた。
憧れているだけなら、良かったのに……。
見ているだけなら、問題なかったのに……。
だけど、
優しさに触れてしまうと、もう引き返せなかった……。
愛に触れてしまうと、抜け出すことが出来なくなってしまった……。
自分の中だけで留めておくべきだった。
自己満足のためだけに、口にしてはいけないことを口にした事を、いまはとても後悔している。
『先生を守りたい』なんて格好つけて、結局は傷付けてしまった。
『先生の味方でいたい』なんて偉そうに言って、先生を簡単に裏切った。
『好き』とか『愛してる』なんて言葉で、振り向かせよう、縋り付こうとした。
『好き』や『愛してる』と言う言葉は、免罪符じゃない。
好きだからって、何をしたって良いと言うわけじゃない。
愛してるからって、相手を傷付けて良いわけなんかない。
そして、既にやってしまった事は、無かったことには、絶対にならない。
私の我が儘に付き合わせるだけ付き合わせて、最後には非道い言葉で突き放した。
……そんな酷いことが、許されて良いはずがない。
許して貰えるとも思っていない。
許して欲しいとは、思ってはいけない。
私はこれからの人生、この罪に向き合って生きて行く、そう強く自分に言い聞かせる──。