先生がいてくれるなら③【完】

「藤野先生っていつも生徒が離席してる間の授業内容をメモ書きしてくれるのは、明莉も知ってるよね?」


そう──、体調不良や保健室への付き添いなどの理由で授業の途中で離席した生徒には、いつも離席中の授業内容を書いた手書きのメモを手渡しているのだ。


私は一度だけクラスの子からそれを見せて貰ったことがあるけど、その内容が結構細かくてすごく驚いた。


生徒に問題を解かせている数分の間に書いたとは思えない、恐ろしいメモなのだ。



それを思い出しながら私はコクリと頷く。


「私にも同じようにメモをくれたんだけど。その後『立花、大丈夫だった?』って、明莉のこと聞いてきて」


あぁ……、一応気にかけてくれてたんだ。


やばい、ちょっと……いやかなり、嬉しいかも……。



「私が明莉の状態を報告したら、その後、『そう、ありがとう』って……」




椿の言葉に、美夜ちゃん、悠斗、市橋君が一斉に私を見る。


やだ、ちょっと今こっち見ないで欲しい、間違いなく私の顔、真っ赤だから!



「……確かに珍しいな。アイツがそんな事言うの、俺も聞いたこと無い」


悠斗がそう言うと、美夜ちゃんもコクコクと頷いている。


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