先生がいてくれるなら③【完】

「ねぇ、……その後、先生とはどうなってるの？」


高峰さんがちょっと声を落として私に尋ねた。


私はその言葉に苦笑して少し首を傾げる。


「どうって……、特に何もないですよ？」


そう答えると、彼女は少しバツの悪そうな顔をした。


「……よりを戻したりしないの？」

「……しません」

「どうして？」


いや、どうしてって言われても……。


私は苦笑したまま何も返せないでいると、「元に戻ったって、もう何も問題無いじゃない。それとももう嫌いなの？」と聞かれ、私はすぐに首を横に振った。


嫌いなわけない。


好きすぎて困ってるぐらいだ。


でも、高峰さんとのことが解決したって、元に戻ることは難しいと思う。


先生はきっと私のことを怒ってるだろうし……。


「私のせいだった、って言えば良いのよ。先生だって私のせいだって知れば……。絶対元に戻れるわ」


そうかな……。


私は違うと思う。


私はフルフルと首を横に振った。


先生の気持ちを思えば、きっとそんな簡単なことじゃないと思う。


私は先生を傷つけた。


それが、無かったことなんかにはならない。


それに、高峰さんのせいにするのも、私は絶対にイヤだから──。