先生がいてくれるなら③【完】
「んで、ちょっと気になったんで、お前に電話したわけ。なかなか出てくれないから学校に怒鳴り込みにでも行こうかと思ったよ」
夜の9時過ぎにまだ学校で残業してるって分かってるんなら、邪魔しないで仕事をさせろ。
「“俺は報告してもらってないけど”、付き合ってた立花さんと別れたって聞いて、すぐにだいたいの事は分かった」
「……お前根に持つタイプか?」
だいたい、なんでいちいちお前に立花のことを報告しなきゃならないんだよ。
俺の言葉をサラッと無視して、岩崎は話を続ける。
「そもそも高峰絡みって事は、おおかたお前の女関係のトラブルだろ? だから……」
「……!」
俺は岩崎の言葉を聞いて、やっと、なぜ高峰の名前が出て来たか合点がいった。
──おい、ちょっと待てよ、だったら…………
俺はある結論に達し、思わず勢いよくソファから立ち上がる。
「はいはい、藤野先生、大人しくして下さーい。座って下さーい。まだ話は終わってないから」
巫山戯た口調で俺を宥める岩崎をギロッと睨んで、俺は再びソファにドサリと腰掛けた。