先生がいてくれるなら③【完】

「名刺もらっちゃってたんで、俺からその探偵に会いに行ったわけ。依頼主が知りたくて。でも『守秘義務があるから』って教えてくれなくってさぁ。ま、当然だけどね。じゃあ俺もお金払うから、ちょっと一緒に調べてくんない? って言ったけど、断られちゃった」

「お前、巫山戯すぎ。当たり前だろ」

「まぁ、探偵さんからは断られたけど、お前から必要な情報は得られたわけですよ」

「……」

「放課後、お前に会いに学校に行ったら、たまたま、すっげーたまたま、立花さんが出て来て。バスに乗ってどっか行くから、ちょっと気になっちゃって。俺もこっそり護衛がてら付いて行ったら、辿り着いたのはこの病院でした~」


……ふざけんな、何が “護衛がてら” だ。


明らかに “立花の後をつけてる” だろーが。


この男のこう言う所だよ、信用ならないのは。



「そこで、チョロチョロ~っと調べたら、この病院には “藤野教授” と言う方がいらっしゃるじゃないですか。どっかで聞いたことある名前じゃないですか。どう考えてもお前の親父さんじゃないですか」


──誰かこの男の巫山戯すぎた口調をどうにかしてくれ。


って言うか、もう、誰かコイツを抹殺してくれ。


ムカついて仕方ない。


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