先生がいてくれるなら③【完】
「立花さんは、火曜日と木曜日、あと土日のうちどっちかは必ず病院に行くんだよね」
「……は? お前、暇人か?」
「俺さ、お前も知ってると思うけど、学園の理事長から気に入られてるから、いま担任持ってないんだよねぇ。暇なんだよねぇ」
「……くたばれ」
「藤野先生、お口が悪いですよ? せっかく大事な話してるのに」
そもそもお前のその巫山戯た口調が全く大事な話に聞こえないんだよ。
コイツほんとに殴りたい。
「それでねぇ、そのうちに、立花さんが会ってる人物と接触出来たわけですよ。ねぇ、光貴先生?」
光貴が岩崎の問いかけに頷いた。
「……やっぱり立花が会ってたのはお前か、光貴」
「まぁね。でも僕は本命じゃないよ。彼女が本当に会いに来てたのは……」
光貴がそこで言葉を切り、続く言葉を口にしたのは、岩崎だった。
「──高峰に、だよ」
「は……? なんでここに高峰が……」
ここは病院だ、なんで高峰が病院にいるんだ?
「高峰はね、事故で怪我して、入院してたらしい」
岩崎の言葉に頷いた光貴が、その先を続けた。
「連休明けすぐぐらいに高峰さんが救急でここに運ばれて来て。一時は意識不明だったんだけど、奇跡的に脳に損傷は無くて、数日後に目が覚めたんだよ。そのことを立花さんに連絡させてもらったんだけど……、その時兄さん、立花さんと一緒にいたんでしょ」