----未定----
蒼さん夕方に帰ってくるって言ってたし、何か作ろうかな。

でも、勝手に使うのも悪いかな。


キッチンに行くと普段使ってないのかって思うほどきれいだった。

リビングだって寝室だってどこもかしこも整理整頓されていて、男性の一人暮らしとは

思えなかった。

でも、

せめてもの恩返しと思って夕飯を作ることにした。

冷蔵庫を開けると予想外なことに食材はたくさんあった。

この様子だと冷蔵庫は空っぽかなと思っていたから安心した。



蒼さんが帰ってくるであろう時間までまだ結構余裕があるだろうし

何を作るにしても時間は十分だ。

蒼さんがどんなものが好きかわからないし、あまり好き嫌いのないであろう和食に

しようと思う。

冷蔵庫には一通りの食材があるから肉じゃがとみそ汁にしようかな。

調理器具も材料も十分なほどで調理をするのに何も困らなかった。



やっと作り終えて、時計を見ると午後4時。




汗もかいたままだし、お言葉に甘えてお風呂を借りようかな。

蒼さんは気を利かせて軽い着替えまで用意してくれていた。





シャワーを浴びていると、玄関が開く音がした。

それから

「遥!」

と私を呼ぶ蒼さんの声が聞こえてきた。

なんだか慌てているような声だ。

「蒼さん!お風呂です!」

そう言うと、扉の向こうで「よかった」と蒼さんの声が聞こえてきた。

私のことを心配してくれたのだろうか。

さっさとシャワーを済ませて、お風呂を出た。

リビングへ行くと、ズボンとシャツに着替えた蒼さんがソファーに座ってテレビを見ていた。

「蒼さん。勝手に借りてすみません。キッチンもお風呂も」

使っていいといわれたもののやはり使うのは図々しかっただろうか

少し心配になってしまう

「気にしなくていい。それより飯でも作ってくれたのか?」

「あ、はい」

「そんなことしなくてもいいのに」

「すみません。何かお礼をと思って。ご迷惑でしたか?」

蒼さんは表情を変えないから怒っているように思ってしまう。

「いや、熱も下がったばかりだろうに動いて大丈夫か」

蒼さんは怒るどころか心配をしてくれた。

「大丈夫です。夕飯まだでしたらよかったら食べませんか?」

「それなら遠慮なくいただくよ」

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