----未定----
蒼さんは私の作った料理を残さず食べてくれた。

「ご馳走様。おいしかった」

蒼さんはそういって手を合わせてくれた。

食べ終わった食器を片付けようと立ち上がると、「遥」と蒼さんに呼び留められた。

「何ですか」

「少しくらい休んでいるといいい。」

蒼さんがこえをかけてくれた。病み上がりで熱は引いたとはいえ少しきつかった。

それに気づいてくれたのだろう。

「すみません。ありがとうございます。」

「なあ、いちいち謝らないでくれ。別に君は悪いことをしているわけじゃねぇんだし」

「あ、すみません。」

「ほらまた。ごめんよりありがとうの方が嬉しいけど?」

蒼さんは周りを気遣える優しい人なんだと思った。

「ありがとうございます」

そう伝えると蒼さんは優しく微笑んで食器をキッチンへ運んでくれた。

食器洗浄機に放り込んで蒼さんは私の座るソファーの横に腰かけた。

「遥。言いたくなかったら言わなくてもいいんだけどさ」

蒼さんが真剣な面持ちで話し始めた。

「何ですか?」

「あの日どうしてあんな所にいたんだ?」

蒼さんはあの日のことを聞きたいのだろう。

「私、、、、、」

私はあの日のこと、これまでのことを一つ一つ話始めた。

ずっと付き合っていた彼氏を親友にとられたこと。

それがショックであのまま死んでしまおうと思ったこと。

すべて話し終わるころには私の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。

「そうか」

蒼さんはそれだけ言って私を抱きしめてくれた。

「蒼さん?」




「ごめん。」

それだけ言って、それでも優しく抱きしめて私が泣き止むまでそばにいてくれた。

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