君に伝えたかったこと

偶然の・・・

〈もしもし、びっくりだったね。また電話するね〉

名前も言わないで吹き込まれた伝言。

芳樹の携帯電話に残された着信履歴には数字が並ぶだけ。
それでも、その声の主が誰なのかはすぐにわかった。

あれから6年も経ってしまったが、いつも近くで聞いていたその声はなにひとつ変わっていない。

仕事帰りの車の中で聞いたその伝言。吹き込まれたのは1時間前。
取材中のことだった。


突然目の前現れた、昔の恋人。

淡々と進む、芳樹の生活の中では、ちょっとした事件だった。



(また電話するね・・・か)

< 102 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop