君に伝えたかったこと
編集部を後にした芳樹は、定まらない気持ちのまま車を走らせた。
そして、いつも降りるインターを通過し空港方面へ、そして港のほうへ。
BGMも流れない、一人だけの空間。

(ダメなんだよな、色々と流されちゃ…)

次々に現れ、そしてあっという間に後方へ流れていく高速道路の灯り。
その灯りが芳樹の中ではいくつもの想いと重なる。

突然再会し、仕事とはいえ、毎日のように会い、連絡を取り合う紗江。

思わぬタイミングで再び始まった美貴恵との連絡。

考えることが山ほどありすぎたから、ひたすら仕事に没頭した。

そうでもしないと余計なことばかり考えてしまうのがわかっていたから。

迷っているのか? 
それとも決めているのか?

考えなくてはいけないことはわかっていた。
しかし、それをすべて処理することができない自分に苛立ってしまう。

紗江と美貴恵と自分。

アクセルを踏み込み、加速する車。
気が付けば空港のライトアップが見える場所まで来ていた。
目的もなく高速を降り、暗闇に包まれたパーキングに車を停める。
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