君に伝えたかったこと

違和感

お疲れ様 仕事中かな?

そのメールを送信した美貴恵は、一人ソファーに座り見るともなしにテレビの画面を眺めていた。

流れていたシーンは口ゲンカ中の男女。

(そういえば芳樹とケンカしたことなんかなかったな。ちょっとした言い合いしてもすぐに元通りの笑顔…)

そんなことをなんとなく考えているとラインの通知。

(きっと芳樹だ)

いつも芳樹の返信は早かった。
これまでもメールにしてもラインにしても、美貴恵に待たせたことがほとんどない。

それは美貴恵を少しの間でも不安にさせたくないという芳樹の想い。

仕事が終わってこれから帰るという報告や、自分のことを気遣ってくれる言葉。
どれもが心地よく、心の底から安心できた。

いつものように芳樹からのラインは優しかった。
そこには美貴恵の求めているものが全て詰まっていたのも確かだった。

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