君に伝えたかったこと
第九章

やっと・・・

やっと逢える。
ずっと待っていた、この時間が訪れることを・・・

美貴恵と芳樹が会わなくなって、たくさんの時間が流れた。
別々の場所で、違う景色を眺めていた二人。

それでも運命がもう一度、引き合わせてくれた。
逢いたいと思いながら、逢えなかった二つの気持ち。

(何着て行こうかな?)

明日は芳樹との約束の日。

美貴恵は、その日を本当に楽しみにしていた。

ラインや電話で、芳樹とはつながっていたものの、顔を見ていない、触れていないことへの、ちょっとした不安。

それも、明日になれば、すべてがあっという間に消えてしまう小さなこと。

(芳樹の顔見たら泣いちゃうかもな。でもいろんなこと話したいし、明日はずっと一緒に居られるから・・・)

そんな想いを胸に、明日履いていこうとしている靴を手にとった。

淡いピンクのヒール、芳樹からのプレゼントだった。



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