君に伝えたかったこと
「芳樹は色んなこと知っているよね」
 
紗江がペットボトルのキャップを開けたり閉めたりしながら呟く。

「そう?」

「だって、私の飲むペースがいつもより早いとかさ、明日は定例会議だとか。普通の人はそんなこと知らない」

紗江の言葉に、一瞬、会話が止まる。
なぜ知っているのか? 答えは当たり前の理由だった

「そりゃ、水曜日が定例会議なのは前に聞いてたし、飲むペースが早いのだって、わかるさ」

(だって付き合ってたんだから・・・)

その言葉をぐっと飲みこんだ。

(なんで私のことわかるの?)

紗江もまた、言えない想いを抱えていた。
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