君に伝えたかったこと
第二章
僕の仕事はフリーライター
「寒すぎるだろっ!」
ポケットから小銭を取り出して自動販売機にガチャガチャと放り込む。
芳樹(よしき)にとってこの作業は今日だけで3回目だ。
編集プロダクション経営、これが芳樹の肩書き。
経営者といえば聞こえはいいが、社長自ら現場に出て取材から執筆までを担当する、いわゆるひとり社長。
大手出版社の編集部から独立したのが5年前。ようやく仕事も回り始め、人手不足を解消するために会社を立ち上げたのは去年のことだった。
(ネット主流のこの時代に出版なんて斜陽産業にしがみつかなくてもいいんじゃないか。
お前なら他のジャンルでもやっていけるだろう)
こんな忠告も何度も聞いた。
それでも好きでやってきた、この仕事から離れる気はなかった。
ポケットから小銭を取り出して自動販売機にガチャガチャと放り込む。
芳樹(よしき)にとってこの作業は今日だけで3回目だ。
編集プロダクション経営、これが芳樹の肩書き。
経営者といえば聞こえはいいが、社長自ら現場に出て取材から執筆までを担当する、いわゆるひとり社長。
大手出版社の編集部から独立したのが5年前。ようやく仕事も回り始め、人手不足を解消するために会社を立ち上げたのは去年のことだった。
(ネット主流のこの時代に出版なんて斜陽産業にしがみつかなくてもいいんじゃないか。
お前なら他のジャンルでもやっていけるだろう)
こんな忠告も何度も聞いた。
それでも好きでやってきた、この仕事から離れる気はなかった。