君に伝えたかったこと
カップに注がれたコーヒーも少なくなり、すっかり冷めてしまったころ、ふいに美貴恵のスマホが鳴る。Pipipipp・・・

(誰?)

着信を見ると友人のさおりからだった。周りを一瞬だけ見渡してから遠慮がちな声で携帯に出る。

「もしもし」

「ああ、美貴恵? アタシ」

電話の向こうから大きな声が飛び込んでくる。

「今ね、ちょっとお店の中なのよ」

「あら、どこの? デパート? あっ!わかったこの前話してたスフレの美味しいお店?」

「ちがうわよ コーヒーショップ。ちょっと混んでるから・・・」

店内が混雑しているから携帯では話しにくい。
それを伝えようとしたのだが、さおりはお構いなしに話続ける。

「いやね ちょっと美貴恵にお願いがあるのよ、実はさ・・・」
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