君に伝えたかったこと
ただでさえ平日の昼間はあきれるほどウワサ話が好きな近所の奥様連中の視線が気になる。
そんな中で男の車に乗り込む姿を見られるのだけは避けたかった。

結局、美貴恵は自宅から二つ離れた駅でそのサワダと言うオトコと合流することになった。

「では、午前11時にお迎えに上がります。駅に着いたら僕の携帯までご連絡ください。今かけている番号が僕の携帯番号ですけど、念のためにお教えしますね」

そういうと、そのサワダという男はあわただしく話をまとめようしている。
どうやら仕事中にかけてきた電話のようだった。

「じゃあ、当日はよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」

約5分間の電話。
スムーズに言葉を発することができたのは、電話を切る直前のことだった。
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