君に伝えたかったこと
こちらに向かって歩いてくる芳樹を見て、美貴恵は歩みを止めて立ち止まった。

急に立ち止まった美貴恵を見た芳樹は少しあわてたようだった。

「どうしたんですか? 」

小走りに近寄ってきて声をかける。

「なんでもないですよ」

笑顔を芳樹の方へ向けながら、問いかける。

「とりあえず、これからどうします?」

芳樹はその質問を予想していたかのように

「車でちょっと行ったところに、雰囲気のいいお店があるんですよ。まずは、そこでお茶でも飲みませんか?」

と美貴恵を誘った。

「へぇ どんなお店?」

「それは行ってからのお楽しみ」

まだ二回しか会ったことのない二人だったけれど、その間にはまるで昔からの知り合いのような空気があった。
その優しい空気がいつのまにか二人をゆったりと包み込んでいく。
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