君に伝えたかったこと
いっぽう芳樹も美貴恵と初めてのデートだというのに、それほど緊張していない自分に驚いていた。
朝の電話、待ち合わせ場所で見た姿。
そして違和感なく隣にいる美貴恵。

なにもかもが以前からそこにあったような不思議な感覚。

待ち合わせ場所から移動して車の停めてある場所までやってくると、美貴恵が

「どこに乗ればいい? 後ろ?」

と話しかける。

「何言ってるんですか? 後ろのワケないでしょ。ちゃんと助手席に乗ってください」

そう言って助手席のドアを開けた。

「ありがとう」

美貴恵はスルリと良樹の開けてくれたドアから乗り込んだ。

「じゃあ行きますね」

駅を後にして港の方面に車を走らせた。
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