君に伝えたかったこと
二人の関係に、ほんの少しだけ顔を覗かせる不安。

あの人はいつも、これ以上ないほどの優しさを与えてくれる。

その優しさが、美貴恵にとってかけがえのないものだったから、話さなければならないことがあることもわかっていた。

(次に会ったとき、自分の想いや考えていることをちゃんと話そう。何が正しいかなんて答えが出るはずもないけれど)

いつものように返信をして立ち上がると、胸元でふたつのリングがぶつかってかすかに音を立てる。

そっとリングを手で押さえた。
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