君に伝えたかったこと

「オレだって、最初からわかってたよ。いつか、そんなことを口にする日が来るんじゃないかって。避けて通れない、一番大きな壁が間違いなくあるんだし・・・」

うつむいたままの美貴恵

「前に、二人で占いしてもらったことがあったよね。そのとき、将来について占い師の人が言ってた言葉に美貴恵が悲しそうな目をしていたのもわかってたよ」

「え？　そう・・・だったんだ」


今は何を話してもきっと全部がその場で消えてしまう。そう思った芳樹そっと、美貴恵の手を握って立ち上がった。

「大丈夫。美貴恵はきっと幸せになれるよ」

その言葉の意味はわからなかった。
それでも、その言葉は何よりも暖かく美貴恵の気持ちに染み込んでいった。

（私は結婚してるんだよ）

その事実は変わらない

答えも、今は出ることはない