君に伝えたかったこと
電話を切ったあと美貴恵は、大きな声を上げて泣いた。

次から次へととめどなく流れる涙。その涙が頬をつたい首筋へ落ちる。

プレゼントしてくれたネックレスが涙で静かに光っている。
一番大切にしていたそのネックレスの存在が、これ以上ないほど気持ちに冷たく突き刺さった。

電話が切れる寸前、最後に芳樹が伝えてくれた言葉。

(美貴恵は絶対に幸せになれる。だから泣いちゃダメだよ)

それからしばらくたって美貴恵の携帯電話から芳樹の連絡先は消えた。
そして毎日のメッセージが届くこともなくなった。

美貴恵はどんなに辛くても、自分の出した答えは絶対に間違ってはいなかったと信じるしかなかった。

しかし、心のどこかで芳樹からの連絡を待っている。

(もしかしたら、またいつものように電話をかけてくれるかも・・・)

声を聞くこともなくラインが来なくなっても、美貴恵の心から芳樹の影が消える瞬間などひと時もなかった。

それでも耐えるしかなかった。自分から大切な人を遠ざけたのだから・・・。

心にいつも通り過ぎるのは芳樹の優しさが溢れる思い出だけ。



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