君に伝えたかったこと
しかし、悩みながらも行動しようと決めたものの、連絡先を消してしまった美貴恵ができることは多くなかった。

住んでいたマンションは引っ越すと言っていたから、きっともうそこにはいないはずだ。

唯一、つながりのあるさおりは、この半年、海外特派員として渡米していた。

残された方法は、芳樹がよく仕事で使うと話していたいスタジオへ行くことくらいしかなかった。

約束もせず、適当な日を選んで、来ているかどうかもわからない場所に訪ねて行く。
もしこれで芳樹に逢えるとしたら、そこには奇跡的な偶然や圧倒的な強い運命が必要だった。

逢えることはない。それは痛いほどわかっていた。
それでも、奇跡が起きて逢えれば何かが変わるかも知れない。

自分の思ったままに行動する決心をした

逢えれば何かが変わる。

逢えても未来は変わらない。

逢える・・・

逢えない・・・


気持ちのままに動いてみよう

そう決心した





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