冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
あまり見つめすぎたのか、鈍い瑠衣もさすがに気が付いたみたいだ。適当にからかうと不服そうに頬を膨らませた。表情のくるくる変わる瑠衣にちょっかいをかけるのは楽しい。
いつからこんな風に思うようになったのか、美味しそうに食事をとる彼女を見ながら思い出した。
高校の同級生に仲間内で集まるからと言われて顔を出した飲み会が、瑠衣と出会った合コンだった。彼女はのちに俺の勤めるクリニックで一緒に働くことになる、彼女の姉の瑠璃ちゃんと自分の友人たちと参加していた。
俺は騙されて連れてこられたことに腹を立てたが、もちろんそれを顔には出さない。後で幹事に少しいや……思う存分嫌味をぶつけたけれど。
瑠衣が女性側の幹事だったようだ。適度に場慣れしていてどのようにすれば男性受けするのか、周りを不快にさせない態度というものをわかっていた。彼女のおかげで和やかに会が進んでいった。
ただその姿を見て『相当数をこなしているな』という感想を持った。彼女の姉が飲み会にはまったく慣れていないようで、隣にいる瑠衣が余計に計算高く見えたのかもしれない。俺はその場でどうしていいかわからないという態度の彼女の姉の瑠璃ちゃんをからかって遊んでいた。熱視線を送ってくる他の女子とは違い、俺に興味がなさそうな瑠璃ちゃんを相手にしている方が楽だったからだ。
看護師の瑠璃ちゃんとは同じ医療業界で働くということもあり普通に話が盛り上がった。合コンお決まりの好きな食べ物や休日の過ごし方なんて話をするよりよっぽど有意義な時間だった。
その頃瑠衣はといえば、俺の友人の幹事が彼女を気に入ったようで話し込んでいた。彼女もまんざらではなさそうに見えた。
しかし他の女性が幹事のそばに行くと、すっと席を立っていた。俺の友達は名残惜しそうにしていたけれど、瑠衣はまったく意に介さない。そうやってひとりになりがちな人や、カップルになりそうな人たちに声をかけて、合コンの間四六時中周りに気を使っていた。
派手な見かけとは違って、損な役回りばかり引き受ける子だな。
最初の第一印象はその程度だった。
それから直接会うことはあまりなかったが、俺の先輩である医師の中村和也さんと瑠璃ちゃんの結婚式で再会し、なぜだか意気投合してからちょくちょく会うようになったのだ。
いつからこんな風に思うようになったのか、美味しそうに食事をとる彼女を見ながら思い出した。
高校の同級生に仲間内で集まるからと言われて顔を出した飲み会が、瑠衣と出会った合コンだった。彼女はのちに俺の勤めるクリニックで一緒に働くことになる、彼女の姉の瑠璃ちゃんと自分の友人たちと参加していた。
俺は騙されて連れてこられたことに腹を立てたが、もちろんそれを顔には出さない。後で幹事に少しいや……思う存分嫌味をぶつけたけれど。
瑠衣が女性側の幹事だったようだ。適度に場慣れしていてどのようにすれば男性受けするのか、周りを不快にさせない態度というものをわかっていた。彼女のおかげで和やかに会が進んでいった。
ただその姿を見て『相当数をこなしているな』という感想を持った。彼女の姉が飲み会にはまったく慣れていないようで、隣にいる瑠衣が余計に計算高く見えたのかもしれない。俺はその場でどうしていいかわからないという態度の彼女の姉の瑠璃ちゃんをからかって遊んでいた。熱視線を送ってくる他の女子とは違い、俺に興味がなさそうな瑠璃ちゃんを相手にしている方が楽だったからだ。
看護師の瑠璃ちゃんとは同じ医療業界で働くということもあり普通に話が盛り上がった。合コンお決まりの好きな食べ物や休日の過ごし方なんて話をするよりよっぽど有意義な時間だった。
その頃瑠衣はといえば、俺の友人の幹事が彼女を気に入ったようで話し込んでいた。彼女もまんざらではなさそうに見えた。
しかし他の女性が幹事のそばに行くと、すっと席を立っていた。俺の友達は名残惜しそうにしていたけれど、瑠衣はまったく意に介さない。そうやってひとりになりがちな人や、カップルになりそうな人たちに声をかけて、合コンの間四六時中周りに気を使っていた。
派手な見かけとは違って、損な役回りばかり引き受ける子だな。
最初の第一印象はその程度だった。
それから直接会うことはあまりなかったが、俺の先輩である医師の中村和也さんと瑠璃ちゃんの結婚式で再会し、なぜだか意気投合してからちょくちょく会うようになったのだ。