冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
声をかけてきたのは、姉だ。旦那さまが出張なので昨日は実家に泊まったようだ。早起きして朝食の準備を母としていたらしい。淹れたてのコーヒーをわたしの前に置いてくれた。
「おはよう……うっ」
深く匂いを吸い込んだと同時に、胸がむかむかして思わず顔をそむける。
「どうかした? 二日酔い?」
「ううん……なんだかここ最近体調が悪くて」
「そうなの? 病院は?」
「行ってない」
あんまり好きじゃないのだ。それにだるい程度で我慢できないわけじゃない。
「もう、あんまり続くようならちゃんと検査しないとダメだよ」
「はいはい、わかった」
「もう、心配してるのに」
不満そうな顔でわたしの向かいに座った。その隣に母も座り女だけで朝食をとる。父はどうやらもう仕事に行ったようだ。
ハムとチーズののったトーストとサラダ。それとオレンジ。いつもとそう変わらないメニュー。
「ねえ、和也くんアメリカに出張なの?」
「うん。学会だって」
「瑠璃もついていけばよかったのに」
母の言葉に姉はとんでもないと首を振った。
「わたしだって仕事があるし、それに彼の邪魔をしたくないから」
「そうね。でもアメリカに住むっていう可能性はないでしょう? 病院のこともあるし」
姉の旦那さまである和也さんは、現在都内で大きな総合病院の院長を務めている。だからアメリカに住むという選択肢はないだろう。
「うん。英語苦手だからそれはうれしいかな。それに向こうでの仕事って本当に激務らしくて家に帰ってもほとんど寝るだけで、会話もままならないって言ってた。それに日本人の奥様同士の繋がりも強くて、お茶会とか食事会とかとにかく大変なんだって」
身振り手振りを交えながら、どれだけ大変なのか熱く語っている。自分が行くわけではないのに心配性だなと横目で見ながら、食欲がないのでオレンジだけ口に運ぶ。
でも姉ちゃんはそういう派閥争い苦手そうだもんな……。
かく言うわたしもできればそういうのは避けたい。自分のことならいいけど、パートナーのコミュニティでとなると胃に穴が開きそうだ。
「単身で行く方が仕事に集中できそう。結果も出やすいだろうし。だから今度は君島先生が行くことになったんだね、きっと」
「えっ?」
「おはよう……うっ」
深く匂いを吸い込んだと同時に、胸がむかむかして思わず顔をそむける。
「どうかした? 二日酔い?」
「ううん……なんだかここ最近体調が悪くて」
「そうなの? 病院は?」
「行ってない」
あんまり好きじゃないのだ。それにだるい程度で我慢できないわけじゃない。
「もう、あんまり続くようならちゃんと検査しないとダメだよ」
「はいはい、わかった」
「もう、心配してるのに」
不満そうな顔でわたしの向かいに座った。その隣に母も座り女だけで朝食をとる。父はどうやらもう仕事に行ったようだ。
ハムとチーズののったトーストとサラダ。それとオレンジ。いつもとそう変わらないメニュー。
「ねえ、和也くんアメリカに出張なの?」
「うん。学会だって」
「瑠璃もついていけばよかったのに」
母の言葉に姉はとんでもないと首を振った。
「わたしだって仕事があるし、それに彼の邪魔をしたくないから」
「そうね。でもアメリカに住むっていう可能性はないでしょう? 病院のこともあるし」
姉の旦那さまである和也さんは、現在都内で大きな総合病院の院長を務めている。だからアメリカに住むという選択肢はないだろう。
「うん。英語苦手だからそれはうれしいかな。それに向こうでの仕事って本当に激務らしくて家に帰ってもほとんど寝るだけで、会話もままならないって言ってた。それに日本人の奥様同士の繋がりも強くて、お茶会とか食事会とかとにかく大変なんだって」
身振り手振りを交えながら、どれだけ大変なのか熱く語っている。自分が行くわけではないのに心配性だなと横目で見ながら、食欲がないのでオレンジだけ口に運ぶ。
でも姉ちゃんはそういう派閥争い苦手そうだもんな……。
かく言うわたしもできればそういうのは避けたい。自分のことならいいけど、パートナーのコミュニティでとなると胃に穴が開きそうだ。
「単身で行く方が仕事に集中できそう。結果も出やすいだろうし。だから今度は君島先生が行くことになったんだね、きっと」
「えっ?」