冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
そう答えるしかなかった。なにも相談ぜずに自分ひとりで決めてしまったことは申し訳ないと思う。でもあのときわたしはどうしても翔平の夢を応援したかった。そして子供だって諦められなかった。だから……ああするのが一番だと思っていたのだ。
「わからないか……ずるいな」
「ごめんなさい」
翔平がこんな風に謝っているわたしを責めることはめずらしい。当たり前だろう。彼に黙って彼の子供を産んだのだから。だからせめてばれないようにするべきだったのだ。
彼が今の状況に戸惑い、自分の感情と向き合っている。こんな形で迷惑をかけ傷つけるつもりはなかった。わたしたちは三年前に終わった。それですべてだったはずなのに。
いつも余裕たっぷりだった彼をこんな風に動揺させてしまって胸が痛い。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「今さら謝ってもらっても、三年前には戻れないんだ」
その通りだ。わたしたちはもう別の道を歩いている。
「わかってる。それは……本当にごめんなさい」
謝罪しかできない。
「悪いと思ってるのか? 俺に黙って勝手したこと」
「ええ、それは本当に……ごめんなさい。だから、翔平はこれまで通り知らなかったことにして――」
「バカ言うな」
彼の低くて怒りをはらんだ声に、体がびくっと震えた。こんな風にあからさまな怒りをぶつけられたのははじめてだった。
わたしは自分がどれほど彼の負担になっているのかと思うと、申し訳なさと情けなさで唇をかんだ。
ただ……翔平の子供を産みたかっただけなのにな……それさえ迷惑だったかな。
普段はあまり考えないようにしているネガティブな感情がわいてきて泣きそうになる。
隣で眠る悠翔の顔を見る。すやすやと眠っている息子の顔を見るとひときわ込み上げてくるものがあった。
「バカ言うなよ。これからは俺もお前たちに関わっていく」
「え? ……待って、どういうこと?」
いきなりなに言い出すの?
真剣な目には彼の並々ならぬ決心が感じられた。
予想もしていなかった翔平の言葉に動揺を隠せない。わたしは目を見開き彼を見つめ返した。
しかし翔平はわたしの動揺など一切無視して話を続ける。
「俺がこいつの父親なんだから、当たり前だろ」
「そんな……ダメだよ。できるわけない。それにいきなり父親が現れたなんて悠翔が混乱するわ」
「わからないか……ずるいな」
「ごめんなさい」
翔平がこんな風に謝っているわたしを責めることはめずらしい。当たり前だろう。彼に黙って彼の子供を産んだのだから。だからせめてばれないようにするべきだったのだ。
彼が今の状況に戸惑い、自分の感情と向き合っている。こんな形で迷惑をかけ傷つけるつもりはなかった。わたしたちは三年前に終わった。それですべてだったはずなのに。
いつも余裕たっぷりだった彼をこんな風に動揺させてしまって胸が痛い。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「今さら謝ってもらっても、三年前には戻れないんだ」
その通りだ。わたしたちはもう別の道を歩いている。
「わかってる。それは……本当にごめんなさい」
謝罪しかできない。
「悪いと思ってるのか? 俺に黙って勝手したこと」
「ええ、それは本当に……ごめんなさい。だから、翔平はこれまで通り知らなかったことにして――」
「バカ言うな」
彼の低くて怒りをはらんだ声に、体がびくっと震えた。こんな風にあからさまな怒りをぶつけられたのははじめてだった。
わたしは自分がどれほど彼の負担になっているのかと思うと、申し訳なさと情けなさで唇をかんだ。
ただ……翔平の子供を産みたかっただけなのにな……それさえ迷惑だったかな。
普段はあまり考えないようにしているネガティブな感情がわいてきて泣きそうになる。
隣で眠る悠翔の顔を見る。すやすやと眠っている息子の顔を見るとひときわ込み上げてくるものがあった。
「バカ言うなよ。これからは俺もお前たちに関わっていく」
「え? ……待って、どういうこと?」
いきなりなに言い出すの?
真剣な目には彼の並々ならぬ決心が感じられた。
予想もしていなかった翔平の言葉に動揺を隠せない。わたしは目を見開き彼を見つめ返した。
しかし翔平はわたしの動揺など一切無視して話を続ける。
「俺がこいつの父親なんだから、当たり前だろ」
「そんな……ダメだよ。できるわけない。それにいきなり父親が現れたなんて悠翔が混乱するわ」