涙、滴り落ちるまで
「……」

僕らが何も言えずに黙っていると、家に入ってきたライラ様は「……大丈夫ですか?」と心配そうな顔をする。

「……はい……」

ライラ様と目を合わせた透は、少し驚いた顔をした後に悲しそうに微笑んだ。

「……君は、地獄の死神の……えっと……」

「……星川 透だよ。というか、君……あの時いたっけ?」

透の言葉に、晴輝は「いたよ」と呟いて半年前の出来事を話す。

「……へぇ……そんなことがあったんだ……僕、半年間ずっと地獄にいたから……」

「……あの、透……何があったのか教えてくれないかな?透の、さっきの言葉も気になるし……」

僕がそう言うと、透は「いいよ」と頷いた。一呼吸置いて、透は口を開く。

「……これはクララ様から聞いた話なんだけど、僕は……瑠依の双子の弟らしいんだ。2歳の時に病気で死んで、それからクララ様が拾ったらしい……僕は、10歳の時から地獄の死神としての特訓や勉強をした……12歳の時に、初めて地上で仕事をするようになったんだ」

「……待って。2歳で亡くなったのに、どうして……」

「……死神になる素質がある霊って、普通の霊と違って成長するんだよ」

紫乃の問いかけに、僕はそう返した。僕の言葉に、透は頷く。
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