涙、滴り落ちるまで
僕はそう言ってから口を閉じると、少し間を置いてから口を開く。

「僕のことには興味なかったみたいで、学校の行事には全部来てくれなかったし、そこまで褒めてはくれなかった……そんな両親だったよ」

僕が話し終えると、綾は無言で僕を抱き締めた。

「え?」

「……ごめん……僕が変な質問をしたから……辛かったでしょ?」

「……うん。辛かった!苦しかった……!いつの間にか、僕は苦しくても笑顔を作るようになってて……」

……あれ?僕、何で本心を話してるんだろう……?でも、僕は吐き出さないと限界らしい。いっそのこと、ここで全部吐き出してしまおうか。

「辛いことも悩みも1人で抱え込むようになってて、誰も信じられなくなってたんだ……そんな自分が嫌いになって、もう生きたくなくて……自殺したんだ」

「……」

僕が黙ると、僕の頭に誰かの手が乗せられる。顔を上げると、僕の隣には紫乃が立ってた。

「……良く頑張ったね……」

紫乃はそう言って微笑むと、僕の頭を撫でる。綾には抱き締められて、紫乃には頭を撫でられて……何だか、心が温かいなぁ。

「……ありがとう……ごめんね」

僕は、そう言って微笑んだ。
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